「事故物件不動産」という言葉を耳にすると、多くの人は不安や疑念を抱くかもしれません。
しかし、若者を中心に、事故物件の賃貸市場におけるリスクとチャンスを総合的に判断し、積極的に取り組む動きが見られます。
この記事では、事故物件の基本的な知識から、事故物件の見分け方、探し方、そして住む際のリスクまで幅広く解説していきます。
事故物件に関する正確な情報を紹介することで、事故物件に関する理解を深めていただければと思います。

賃貸の事故物件とは？

「事故物件」とは、その名の通り、建物内で何らかの事故や事件が発生し、人が亡くなった物件のことを指します。
この定義は広く知られていますが、その法的な扱いや賃貸市場での位置づけについては、一般的にはあまり知られていません。

＊事故物件の法的な定義とは？

事故物件は、物件内での自然死や事故死があった場合、特に告知する必要はないとされています。（特殊清掃がなされた等、取引に重要な影響を及ぼすような内容である場合を除く）

しかし、告知事項が必要な事故物件の場合、物件資料に「告知事項あり」と明記され、具体的な内容が契約する前に告知されることが一般的です。
例えば、特定の部屋で何年何月にどのような出来事があったかが記されます。

＊賃貸市場での位置づけ

事故物件は、賃貸市場において特殊な位置づけとなります。
一般的な物件と比較して家賃が安価に設定されることが多く、価格重視の層には魅力的な選択肢となり得ます。
しかし、その背景に事故物件であることによる心理的なハードルが存在します。
このため、次の入居者が躊躇するといった現実があります。

＊告知義務とその期間

事故物件における告知義務は、法的には明確な基準が設けられていませんが、国土交通省が令和3年10月にガイドラインを策定し、賃貸取引の場合は事故発生から概ね3年間は告知が必要とされています。
この期間を過ぎると、基本は告知義務がなくなるため、物件情報に事故の記載がない場合でも、過去に何らかの事故があった可能性は完全には否定できません。
事故物件に関する正確な知識を持つことは、賃貸市場において重要な意味を持ちます。
特に、予算内で物件を探す際には、事故物件が選択肢の一つとなることもあります。

事故物件の見分け方

事故物件を見極める際、いくつかの重要なポイントがあります。
これらを理解し、適切に活用することで、事故物件を見分けられます。
以下に、その具体的な方法を解説します。

＊家賃の相場を比較する

事故物件を見分ける最も基本的な方法は、家賃が地域の相場と比較して異常に安いかどうかを確認することです。
通常、事故物件は相場よりも2〜3割安く設定されることが多いです。
このため、家賃が著しく低い物件は、事故物件である可能性が高まります。
賃貸相場はSUUMOやHOME’Sの全国の賃貸相場ページを参考に、物件の家賃と比較してみましょう。

＊物件名の変更履歴を見る

事故物件の中には、過去の事件や事故により物件名が変更された例があります。
特に大きな事件や事故が発生した場合、物件のイメージを改善するために名称を変更することを行う場合もあります。
物件名が変更されたかどうかは、Googleマップの検索やストリートビュー、他の賃貸サイトの情報を比較することで確認できます。
※物件名が変更されたことと事故物件が完全一致するわけではありません。

＊不自然なリフォーム箇所を確認する

事故物件では、事件や事故による損傷や汚れを隠すために、部屋の一部分だけがリフォームされることがあります。
全面リフォームされている場合は分かりませんが、特定の部屋や箇所だけが新しくなっている場合は、事故物件の可能性もあります。
内見時には、リフォームされた箇所に注目し、不動産会社にその理由を尋ねることが重要です。

＊定期借家契約の有無

定期借家契約は、契約期間が終了すると自動的に契約が終了し、更新ができない賃貸契約です。
事故物件の中には、告知義務を避けるために定期借家契約を利用するケースがあります。
その理由は、概ね３年を超えると告知義務がなくなる事から安価な賃料と告知義務の曖昧な期間設定を定期借家契約で様子を見ている可能性があります。
気に入った物件が定期借家契約だった場合は不動産会社に確認することが重要です。
これらのポイントを踏まえ、事故物件を見分ける際には、家賃の相場比較、物件名の変更履歴、リフォームの状況、契約形態などを総合的に検討することが大切です。

また、不動産会社に直接問い合わせることも重要な手段の一つです。
事故物件を見極めるためには、これらの情報を総合的に分析し、慎重に判断することが求められます。

事故物件の探し方とは

買主・借主が事故物件を探す際には、いくつかの効果的な手段があります。

・不動産会社に直接問い合わせる

まず、不動産会社に直接問い合わせる方法が最も簡単です。
事故物件の有無を尋ねることで、情報を得られることもあります。
ただし、聞くタイミングに注意し、適切な時に希望を伝えることが重要です。
ただ、「格安物件希望」と伝えることで、相手にされなくなる可能性もあります。
電話やメールで事故物件を探していると言われても悪戯に事故物件であることだけが世の中に知れ渡るだけになってしまうからです。
誰も買わない・借りないような事故物件が案内されるだけかもしれません。
不動産会社とコミュニケーションを取れてきてから事故物件でも構わないと告げることによって価値ある事故物件の案内を受ける可能性もあります。

・ポータルサイトで検索する

次に、不動産ポータルサイトで「告知事項」や「心理的瑕疵」といったキーワードを使って検索する方法があります。
これらの言葉は、何らかの告知が必要な物件に使われることが多いため、事故物件を見つける手がかりになります。
ただし、すべてのヒットする物件が事故物件であるわけではないため、詳細は不動産会社に確認する必要があります。
また、賃貸であれば、UR賃貸住宅の「特別募集住宅」をチェックする方法もあります。
これは、居住者が亡くなった住宅を特別に募集しているもので、家賃割引の特典がある場合があります。
首都圏だけでなく地方の物件も掲載されているため、広範囲にわたる選択肢があります。

・売買なら事故物件専用の不動産会社

最後に、売買なら事故物件専用の不動産会社を利用する方法があります。
これらの会社は、事故物件の売買に特化しており、個人や投資家向けにサービスを提供しています。
首都圏に強い会社が多いですが、地方の物件についても問い合わせることで情報を得られるかもしれません。
これらの方法を駆使することで、事故物件を効率的に探し出せます。
それぞれの方法には特徴があり、自分の状況やニーズに合わせて選ぶことが重要です。事故物件を探す際は、これらの手段を活用し、慎重に物件を選びましょう。

事故物件に住む際のトラブルとその対処法

事故物件に住むことは、さまざまなトラブルに直面する可能性が高くなります。
特に人的要因による精神的なストレスは無視できない問題です。
例えば、事故物件を専門に扱うサイトに掲載されると、いたずら目的での手紙の送付が発生することがあります。
また、近隣住民とのトラブルも起こりやすいとされています。
事故物件になる前からその地域に住んでいた住民からは、その住宅を忌避されることもあります。
自分自身が事故物件を気にしない場合でも、近隣住民はそれを気にすることが多く、些細な物音がトラブルの原因になることもあります。
一般的な物件であれば問題視されないような音でも、事故物件では心霊現象と捉えられることもあります。
このような人的要因により、住み続けることが困難になったり、周囲からの視線がストレスの原因になったりすることもあります。
事故物件に住むことを検討している場合は、トラブルが発生した際のご自身なりの対処法をあらかじめ考えておくことが重要です。
トラブルの予防策や、発生した場合の対応策をご自身なりに見つけられれば、事故物件での生活をより快適にすることが可能になります。

まとめ

事故物件を探す方法としては、不動産会社への直接問い合わせ、不動産ポータルサイトでのキーワード検索、UR賃貸住宅の「特別募集住宅」の確認、事故物件専用の不動産会社の利用が挙げられます。
しかし、事故物件に住むことは、いたずらや近隣住民とのトラブルなど、さまざまな問題に直面する可能性が高いため、注意が必要です。
事故物件に住んでいる際は、トラブルが発生した場合の対処法を事前に考えておくことが大切です。
これによって、事故物件での生活をより快適にし、精神的なストレスを軽減することが可能となります。